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いまだから書ける業界の闇⑭最終回『AV史上サイコーのサギ師の、だれも傷つけないハートウォームな手口』

DMMニュースR18編集部が連絡を久々に取った、とある大手AVメーカーでプロデューサーをしていた豚村温司さん。激動のAV業界で幾多の困難を乗り越えてきた彼に本サイトでコラムを書いてもらう事にした。そんな彼だから語れる昔のAV業界・・・佐古編、遂に最終回!佐古といった男に出会ってうまれた様々な事件!!この話はどんな結末を迎えるのか??それでは、どうぞ!

ところで……

あの忘年会から、あとすこしで満20年であるところの、2016年11月某日。

当時はまったくそんなこと思いもよらなかった豚村であったが、50歳を超したいま、あのことを思い出すにあたり、ふと、こんな考えがうかんでくる。

ベッドにねていた奥さん、あれ、ひょっとしてダミーだったのではないか。

という考えである。

精巧なハリボテかもしれないし、それとも奥さん役にと、だれか雇って代わりに寝させていたとか。

死角にはならず、だが全体は見渡せず、一部分だけがみえるという、居間と寝室の位置関係をかんがえての一手だったのではなかろうか。

寝室が居間からはなれていたり、もしくは居間から一望できる、そういう構造だったなら、もっと別の手をかんがえただろうし、そもそもガンという手法すらつかってなかったのかもしれない。

だが、豚村は、いまではあそこでみた光景は、佐古による700万の搾取というサギ、その完璧なる仕上げであった、と確信にちかい感情をいだいている。

二流のサギ師であるなら、ビデオを納品した時点で、雲隠れしてしまうところ、佐古は豚村ふくめかかわったスタッフ全員がおのれに不信をいだき、どころかいまでは本来もらうべき金を取り戻そうと実力行使におよぼうとしている、そんな輩までいるらしいこともとうぜん知ったうえで、あえて一同をあつめるため忘年会をひらき、そして、まんまと乗りこんできた、佐古と一戦まじえる気満々の、血気さかんな男や女、その連中の戦意を、正攻法、かつ文句のつけようのない、まるで「北風と太陽」的な見事な手腕で、削いでしまう、という離れ業をやってのけたのである、車代2万×人数分、たったそれだけの出費で。

いやはや、みごとなサギ師ぶりではないか。

一流というのはこうでなければならない。あっぱれである。

いや、これをうがった見方というなかれ。

これは豚村の、さまざましなくてもいい苦い経験からさすがに学習することをおぼえ、そこからようやっと得たところの知恵なのである。

この考えは、豚村のような「受け身型」人間にとって、せち辛い世間を生きぬいていくうえで、とても役にたつ思考法である、と2016年いまげんざいの豚村は、かようにおもっているのである。

いったい、どういうことか。

それは他人にはつねに疑いをもって接し、たえず距離をおいてつきあったほうがいいということ。

「こころに猜疑心、ポッケにコンドーム」という格言がある。

有名なそれだが、知らない人もいるだろうから説明すると、

猜疑心とはコンドームみたいなものであり、コンドームをつける以上、一体感のある気持ちのいいセックスは望めないが、しかし性病からカラダだけはまもってくれる。それと同様に、猜疑心をもつといつまでたっても人と本物の友情をきずくことはできないが、それゆえ悲観や絶望などネガティブな感情からわれわれをまもってもくれる。ようするに、けっきょくのところ猜疑心こそがあなたの人生に幸福をもたらしてくれる唯一、絶対、最重要なアイテム、そういう意味である。

哲学者パスカルの有名なことばである、

「人の不幸は部屋で静かに坐っていられないことから生じる。」

と根っこは同じであろう。

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そして後日談へ……